注入バルブの要点まとめ
注入バルブは、ガスブロのマガジンにガスを入れるための弁です。日本仕様と海外仕様では、構造とガスの入り方が大きく異なります。
まず、違いの要点を整理します。そして、下の表で、数値と特徴を一覧にしました。
- 日本仕様は、注入時に音がして、満タンで吹き戻しが起きる
- 海外仕様は、注入口にOリングがあり、無音で吹き戻しもない
- 海外製マガジンは、高圧のLPGなどを前提にしている
- 国内ガスでは、圧力不足でガスが入りにくい場合がある
- タニオコバ製の日本仕様バルブに交換すると、入りやすくなる
- 注入量は、満タンの70~80%に留めるのが目安
日本仕様と海外仕様の注入バルブの違い
違いは、音、吹き戻し、Oリング、エア抜き穴に表れます。そのため、判断材料として、比較表を用意しました。
| 項目 | 日本仕様(国産純正・タニオコバ) | 海外仕様 |
|---|---|---|
| 注入時の音 | 「シューシュー」と音がする | 音がしない |
| 吹き戻し | 満タンになるとバルブから発生 | 発生しない |
| 注入口のOリング | なし | あり。ノズルが密着する |
| エア抜き穴 | あり。タニオコバ製は極めて小さい | 大きさは様々。ないものもある |
| スプリングのテンション | 強め | 日本仕様より弱め |
| 想定するガス圧 | HFC134a/152aなどの低い圧力 | LPGなどの高い圧力 |
| ガスの入りやすさ | 国内ガスで入りやすい | 国内ガスでは入りにくい場合がある |
| M17マガジンへの10g注入(ORGAの実測) | ガス缶が13g減少 | ガス缶が10g減少 |
なお、数値は、ORGAが特定のマガジンで確かめた結果です。そのため、他の銃では変わる場合があります。
わざわざ「国内向け」 注入バルブ を販売しているのは何故?日本と海外 注入バルブ の違い
電動ガンとは異なり、リアルな操作やブローバックがマニア心をくすぐるガスブローバックエアガン。現在では、マガジンに設置された 注入バルブ からガスを充填し、それをパワーソースとして利用するタイプが一般的となっています。
最近では、サバイバルゲーム黎明期には当たり前であった外部ソース式も再注目されていますが、それではガスガン本体やマガジンにホースが連結されるため、装備をスッキリさせたい、リアルな装備でサバゲーをしたい、という考え方のプレイヤーには煩わしいのも事実。やはりメジャーなのはマガジン充填式のガスブロでしょう。
ガスブロでは充填用のガスを都度マガジンに注入する必要がありますが、東京マルイなどの国産ガスガンとVFC・GHK・WEなどの海外製ガスガンでは、ガス注入の点で大きな違いがあります。今回はその違いや、海外製ガスマガジン用に作られた国内ガス用 注入バルブ について解説したいと思います。
注入バルブは、マガジン底部の注入口に付く部品です。ガスを入れる役割と、ガスを漏らさない役割を兼ねます。
国産エアガンの発展と海外製エアガンの登場
国産エアガンと海外製エアガンの違いの前に、まずは現在のガスブローバックエアガンがどのように進化を遂げてきたのかおさらいしていきましょう。
ちなみに、「エアガン=BB弾を発射するトイガン(遊戯銃)」という考え方は、銃社会ではない日本ならではの言い回しで、海外ではエアガンというと圧縮空気を用いた空気銃、言いかえれば実銃にあたります。海外での遊戯銃は「エアソフトガン」という表現を使用するのが一般的です。弊社の店名が「オルガエアソフト」と名付けられているのも、海外市場も視野に入れたエアガンショップのためです!
ですがOUTLINEでは引き続き エアガン = エアソフトガン という表現で行きます。話が脱線しすぎましたかね(笑)
サバゲー文化とエアガンの発展
サバゲー文化やエアガン製品が現在のように発展したのは、世界で最も厳しい銃規制が行われている日本だからこそ、と言えます。あこがれが強く、かといって悪用の恐れも少ないことから、トイガンとしての開発に先人たちが掛けた熱い思いが形になっていったのです。
スプリングやガスによる圧縮空気を利用してBB弾を発射するというメカニズムはエアガンの基本動作です。しかしながらエアガンが登場した当初、スライドは固定式でホップアップシステムもなく単にBB弾を空気圧で飛ばすだけのもので、現在の高性能なエアガンとは程遠いものでした。
ガスガンは、ガスの圧力で圧縮空気をつくる仕組みです。つまり、ガスの入り方は、動作の安定性に直結します。
ガスブローバックの登場
その後、MGCからBB弾の発射と共にスライドがブローバックするメカニズムを搭載したガスブローバックモデルのグロックが登場し、そのギミックは衝撃的で同社のヒット商品となりました。そして、それに続けとウエスタンアームズや東京マルイ、タナカ、KSC各社から ガスブローバック エアガン が発売されていくこととなります。
ガスブロは、スライドがブローバックする点が魅力です。そのため、ガスを効率よく使う設計が、性能に直結します。
また、同時期にはショップのオリジナルパーツによりBB弾にホップ回転を与えて飛距離を伸ばすシステムが徐々に出始め、1990年代になるとメーカー製品でも最初からホップアップシステムが搭載されたエアガンが登場する様になります。
ホップアップは、BB弾に回転を与えて、飛距離を伸ばす仕組みです。そのため、ブローバックと並ぶ、性能向上の柱になりました。
海外製エアガンの台頭
そうやって国産ブランドが発展させてきたエアガン文化ですが、突如「黒船」が襲来します。海外メーカーによる輸入製品の登場です。海外のエアガン製品が日本国内に輸入されるようになったのは2000年代に入って数年の頃です。
当初は、海外製エアガンといえば国産エアガンのメカニズムをコピーしたブローバックエンジンを搭載し、低価格ではあるがそれなりの性能でしかないものが中心でした。
ですが、海外メーカーでも徐々にオリジナルのモデルやコンバージョンキットの製造販売など、技術と販売網を広げながら賑わいを見せ、日本のエアガン市場においてもそのシェアを伸ばしてきました。現在、海外製エアガンは日本のみならず世界中に普及し、世界各国のレギュレーションに合わせてサバゲーが行われています。
海外製は、各国のレギュレーションに合わせて作られています。そのため、ガスや圧力の前提も、日本とは異なる場合があります。
ガスガン用パワーソースの変移
エアガンでパワーソースとして用いられるガスとしては、古くはCFC12、いわゆるフロンガスが使用されていました。しかしCFC12ガスは、1987年モントリオール議定書で温室効果ガスとして今後の製造、または輸入が禁止となりました。
その後、外替フロンとしてHFC134aや152aが使用されましたがこれらも1997年、「気候変動に関する国際連合枠組条約の京都議定書」にて、今後の製造や使用を段階的に削減または廃止の取り組みを行うこととなりました。
モントリオール議定書は、1987年に採択され、1989年に発効しました。そのため、CFC12は、世界的に生産が段階的に廃止されました。
代替のHFC134aは、地球温暖化係数が1430です。ちなみに、CFC12は10,900とされています。
さらに、2016年のキガリ改正で、HFCも削減対象になりました。30年で80%以上の削減が目標です。
ガス規制の流れ
| 年 | 出来事 | ガスへの影響 |
|---|---|---|
| 1987年 | モントリオール議定書が採択(1989年に発効) | CFC12の生産が段階的に廃止 |
| 1997年 | 京都議定書で、HFCの削減の取り組みが決定 | HFC134aや152aの削減が課題に |
| 2016年 | キガリ改正でHFCの削減が追加 | 環境負荷の低いガスへの移行が加速 |
| 近年 | HFO1234zeなどの新しいガスが登場 | S&T ダンガン ハイパーガスなど |
HFC134aは、沸点が約-26℃です。そのため、常温では気体ですが、圧力をかけると液化して缶に入ります。
環境に配慮した新しいガス
そして近年、更なる環境問題やSDGsの取り組みによりORGA YouTubeチャンネルでも紹介したS&T ダンガン ハイパーガスのようにHFO1234ze + LPGといった環境保全を考慮した新たなガスも登場しています。
いずれのガスもトイガンを動作させるために必要ですが、マガジンにガスを注入する際に注入音がするマガジンと無音のマガジンがあるのはご存じでしょうか。
ガスの種類と特徴
ガスの種類によって、圧力と特性が異なります。そのため、表で整理しておきましょう。
| ガス | 特徴 | 備考 |
|---|---|---|
| CFC12 | かつて使われたフロンガス | モントリオール議定書で規制 |
| HFC134a | 国内ガスの代表格。圧力は比較的低め | 温暖化係数は1430 |
| HFC152a | HFC134aとともに使われたガス | 京都議定書で削減の取り組み |
| HFO1234ze+LPG | 環境保全を考慮した新しいガス | S&T ダンガン ハイパーガスなど |
| LPG(グリーンガスなど) | 海外で多く使われる、圧力の高いガス | グリーンガスは、プロパンにシリコーンオイルを混ぜたものとされる |
ただし、圧力の高いガスは、プラスチック製のスライドなどを傷める恐れがあるとされます。そのため、ガスの種類は、お使いの銃に合わせてお選びください。
一方、CO2は、低温でもガスより動作が安定するとされます。詳しくは、MWS CO2マガジンの記事をご覧ください。
注入バルブ には日本仕様と海外仕様が存在

海外製ガスブロのマガジンにガスを注入して、海外の注入バルブは「音がしない」ということを知った方も多いと思います。現在は、初めてのガスガンに海外製品を買われる方も少なくないと思いますので、逆に国産のガスガンで音がするという違和感を覚えた方もいらっしゃるかもしれません。
そのため、初めて海外製ガスブロを使う方は、音が出ないことに戸惑います。逆に、国産に慣れた方は、音に驚くかもしれません。
国産と海外製のガスブロマガジンの一番わかりやすい違いは 注入バルブ と言えるかもしれません。日本メーカーの 注入バルブ はガス充填時にマガジン内部の空気を外に出しながら注入することでガスの充填を行い易くしています。また、ガスが充分に注入されるとバルブから「吹き戻し」が発生し、満タンであることを知らせてくれます。
吹き戻しは、満タンのサインです。そのため、初心者でも、充填量の目安をつかみやすい仕組みです。
海外製の注入バルブがガスを入れにくい理由
これに対して、海外製の 注入バルブ は充填時に音がしません。海外製 注入バルブ はマガジン内部のガスの充填具合もわかり難いため、感覚やスケールで注入量の重さを測りながら行うしかありません。海外製の 注入バルブ は総じてガスの充填がされづらく、何十秒もガスを注入したのにも数発撃ったらガス欠…ということもよくあります。これは何故なのでしょうか。
海外ではガスガンのパワーソースとして圧力の高いLPG等を使用するのが理由です。海外では高圧に対応した 注入バルブ を使用するため、日本のHFC134a/152aでは圧力不足でガスの充填に時間が掛かったり、上手く入らなかったりするのです。その対策として、注入バルブを弊社でも販売している日本仕様のタニオコバ製 注入バルブ に交換することで、国産ガスガンと同じようにガス注入を行うことができるようになります。タニコババルブは日本の低いガス圧でも注入しやすいように設計されています。
つまり、ガスの種類と圧力の違いが、入りやすさの差を生みます。そのため、国内ガスを使う場合は、日本仕様バルブが向いています。
タニオコバ製注入バルブの特徴
タニオコバ製は、日本仕様の注入バルブです。日本の低いガス圧でも入りやすいように、設計されています。
また、エア抜き穴は極めて小さく作られています。注入中のロスを抑える工夫と考えられますが、設計意図は推測です。
マガジンの構造とガスの注入方法
ガスマガジンの仕組み

ガスガンで使用するガスは、お手持ちのガスボンベや缶を振っていただければわかると思いますが、ガスが液体となった液化ガスを使用します。通常は気体であるガスに対し一定の圧力を掛けることで液化する、という現象を利用して缶内に溜まっています。
液化ガスは、気化するときに周囲の熱を奪います。そのため、気温が低いと気化が追いつかず、パワーが落ちます。
たとえば、海外の解説では、約-12℃のガスピストルは、満タンでも1~2発しか使えないとされます。
ガスガンは液化ガスのままでは動作しませんので、液化ガスを気体に戻した気化ガスにすることが必要です。液化ガスを溜めつつ、気化させる役目を担うのがマガジンです。強度を持たせるためマガジンは金属製となり液化ガスの状態を目視することはできませんが、100円ライターを想像していただければ液化ガスというものがイメージしやすいかと思います。
生ガスとは何か
余談ではありますが、ガスブロを撃っているとブローバックした際にスライドやボルトキャリアから白い霧や液体が噴き出す経験をしたことがある方も多いのではと思います。これは業界的に生ガスと呼ばれ、液化ガスが十分に気化せずに放出している状態です。原因としてはマガジンにガスを入れ過ぎて内部に十分な気化スペースが無い場合や、連射をすることでマガジンの温度が下がってしまい、ガスの気化が追いついていない状態で発生します。液化ガスを使っていることが良く分かる現象の1つですね!
生ガスが出たときは、まず撃つのを止めましょう。次に、マガジンが温まるのを待つと、気化が追いつきます。
ガスの注入
マガジンにガスを注入する際は、ガス缶のノズルを下を向けた状態で行います。ガス缶のノズルを上にした状態でマガジンに注入しようとしても、缶内で気化したガスのみが放出され液化ガスが充填されません。必ず缶を逆さにした状態で注入を行って下さい。
缶を逆さにすると、液化ガスがノズルから送り出されます。一方、缶を立てると、気体のガスしか出てきません。
また、海外製ガスマガジンは生ガスが吹き戻すまでガスを注入してしまうと、マガジン内部の気化スペースが少なくなり安定動作を妨げてしまいます。
吹き戻しの仕組みと気化スペース
東京マルイなど国産メーカーの純正注入バルブはマガジン内部に長く出っ張るように作られており、気化スペースがゼロになる前にノズル先端に液化ガスが到達した時点で吹き戻しを発生させ、それ以上液化ガスが充填できない様になっています。それに対し海外製ガスマガジンの注入バルブは短く、内部の気化スペースを考慮してユーザー自身でガスが入り過ぎない様に注意する必要があります。これはタニコバ製バルブでも同じです。
気化スペースがなくなると、液化ガスが気化できません。そのため、海外製では、ユーザー自身が量を調整します。
| 種類 | マガジン内部への出っ張り | 吹き戻し |
|---|---|---|
| 国産メーカー純正バルブ | 長く出っ張る | 気化スペースがゼロになる前に発生 |
| 海外製バルブ | 短い | なし。量はユーザーが管理 |
この違いが、ガスの入れ過ぎやすさにつながります。そのため、海外製では、注入量の管理が特に大切です。
海外製ガスマガジンへのガス注入において大切なのは、最低でも1マガジン(フル装弾数分)を撃ち切ることに必要な液化ガスのチャージと、ガスの気化スペースのバランスを保つことです。注入する量は多くても70~80%程度に留めることを意識しましょう。
| 項目 | 目安(M17マガジンの例) |
|---|---|
| 空のマガジン | 276g |
| 吹き戻しまで入れた場合 | 292g(ガス約16g) |
| 理想の注入量(70~80%) | 約11.2~12.8g |
| 今回の検証で入れた量 | 10g(満タンの約6割) |
この数値は、日本仕様バルブでの実測に基づく目安です。そのため、他のマガジンでは変わる場合があります。
日本製のガスマガジンより長めの注入を行うことは必須ですが、かといって長すぎてもガスが入り過ぎてしまうため、何秒くらいが最適か経験の中で覚えていく必要があるでしょう。
海外仕様バルブでのガス注入の基本手順
- ガス缶を逆さにして、ノズルを下に向ける
- ノズルを注入バルブにしっかり押し当てる
- 日本製より長めに注入する
- スケールで、マガジンの重さを量りながら入れる
- 満タンの70~80%で止める
- 入れ過ぎたら、少し休ませてから様子を見る
スケールは、空のマガジンの重さを先に量っておくと便利です。たとえば、276gのマガジンなら、目標の重さまで入れる形になります。
海外製マガジンにガス注入するコツ
正しいガス注入を行っても、海外製ガスマガジンでは中々ガスが入らないことはよくあります。タニコババルブに替えれば改善されますが、それでもイマイチ…と感じる場合はこれから紹介するコツを試してみてください。
コツは、いくつかの対処を順に試すことです。そのため、以下の項目を、上から順に確認してください。
マガジンへのガス注入は言わば、2つのタンクを直結して液化ガスを移動させている行為です。2つのタンクに内圧差があるためガスが移動します。ガス缶側は逆さまになることで気化スペースが密閉され高い圧力をキープし、マガジン側は 注入バルブ を押している間エア抜きの穴も開通するため内圧が上がりすぎることなく液化ガスが入りやすくなっています。
つまり、缶側の圧力が高く、マガジン側の圧力が低いほど、ガスは移動しやすくなります。そのため、マガジンが温かいと、入りにくいのです。
温かいマガジンにガスが入りにくい理由
しかし、ガスマガジンが温かい場合はどうでしょうか。温度が高ければ気化スピードも早くなるため、ガス缶側と内圧差が小さくなり中々ガスが入っていかなくなります。また、海外製の 注入バルブ はものによってエア抜きの穴がない場合もあるため、マガジン内圧が上がりやすくなります。
- 缶を逆さにして、ノズルを下に向ける
- マガジンが温かいときは、少し冷ましてから入れる
- 缶が冷えてきたら、温まるまで待つ
- 缶の残量が少ないときは、新しい缶を使う
- それでも入りにくい場合は、日本仕様バルブへ交換する
気化は周囲の熱を奪います。そのため、少しガスを抜くと、マガジンが冷えて内圧が下がり、注入しやすい状態になります。
ガスが入らないときの対処
こういった場合は一度注入をやめ、放出バルブを押して中のガスを少しだけ抜きましょう。気化は周りの熱を奪う性質があるのでマガジンを冷やして内圧を下げ、ガスを注入しやすい状態を作れます。また、ガス缶も注入を続けていれば冷えてきますので温まるまで待つ方が良いでしょう。ガス缶の残量が少ない場合も圧力が弱くなるため、もう入らないなと思ったら新しいガス缶を開封した方が良いでしょう。
別の原因として、気づかぬうちにマガジン内の液化ガスが満タンになっていて、発射も注入もできないという状態になっている可能性もあります。先述の通り、海外製ガスマガジンは気化スペースが必ず確保できる設計ではありません。このような場合も、放出バルブを押して中のガスを少し抜いてやれば撃てるようになります。
放出バルブを押すときの注意
ただし、放出バルブを押す際は慎重さを忘れずに!一気に大量のガスを抜くとガスルートパッキンが吹っ飛んでしまいます。パッキンを紛失してしまっては元も子もありませんし、勢いよく飛んだパッキンが自分の顔や目、周囲の人に当たる可能性もあります。また、一気に温度が下がるためガスに触れた部分や放出バルブを押した指に軽い凍傷を負う場合もあります。
怪我をしないよう、そして周囲に迷惑を掛けぬよう、放出バルブは少しずつ回数を分けて押すことを心掛け、マガジンの向きにもご注意を。
放出バルブの操作は、推奨されていません。もし行う場合も、顔や周囲に向けず、少しずつ回数を分けて押してください。
※放出バルブを直接操作することは基本的に推奨されておりません。緊急時の対策としてのみ、充分にご注意のうえ個人の責任において行ってください。必要がない場合は放出バルブに触れないでください。また、ガスマガジンの保管時にもガスを抜く必要はありません。
ガス注入のトラブルと対処一覧
症状ごとに、原因と対処は異なります。そのため、まず、症状から当てはまる行を探してください。
| 症状 | 考えられる原因 | 対処 |
|---|---|---|
| ガスがなかなか入らない | マガジンが温かい。缶が冷えている。缶の残量が少ない | マガジンや缶を休ませる。新しい缶を使う |
| ガスが全く入らない | エア抜きのない海外仕様バルブが、国内ガスの圧力に合わない場合がある | 日本仕様バルブへ交換する |
| 白い霧や液体が出る(生ガス) | ガスの入れ過ぎ。連射によるマガジンの冷え | 注入量を減らす。マガジンが温まるまで待つ |
| 数発でガス欠になる | 注入に音がなく、充填量が分かりにくい | 重さを量りながら注入する |
| 撃てず、入りもしない | 液化ガスが満タンで、気化スペースがない | 放出バルブで少し抜く(推奨されない緊急対処) |
なお、放出バルブを使う対処は、あくまで緊急時の手段です。そのため、通常は、注入量の管理で防ぐことが基本です。
注入バルブ を分解
日本仕様(タニオコバ)と海外仕様の注入バルブの構造にはどのような違いがあるのか、分解して比較します。
分解すると、ピンとスプリングによる単純な弁構造だと分かります。そのため、基本の仕組みは、日本仕様と海外仕様で共通です。
注入バルブ上部のパーツにはネジが切ってあり連結されていますので、プライヤーなどで回すと分解することができます。内部にはスプリングとバルブピンが入っており、ピンには小さなOリングがはめ込まれています。バルブピンはスプリングで外方向にテンションがかけられており、通常はガスが漏れないよう弁の役割を果たします。ガス缶のノズルで押し込まれると弁が開放されガスが注入できるようになる仕組みです。
| 部品 | 役割 |
|---|---|
| バルブピン | 通常は弁として、ガス漏れを防ぐ |
| スプリング | ピンを外方向に押して、弁を閉じておく |
| Oリング | ピンにはめ込まれた小さな輪。海外仕様は注入口にもある |
| エア抜き穴 | 注入口とは別の横穴。マガジン内のエアを逃がす |
部品の数は少ないですが、組み合わせで注入のしやすさが変わります。そのため、分解して比べると、違いがよく分かります。
エア抜き穴の大きさの違い
この基本的な仕組みには日本仕様と海外仕様で大きな違いはなく、強いて言えば日本仕様の方がスプリングのテンションが強めになっている程度です。また、注入バルブには注入口とは別に横に小さな穴が空いているのを確認することができます。この穴はガス注入時にマガジン内部のエアを抜けやすくするためのもので、日本仕様と海外仕様ではこの穴の大きさにも違いが見られます。バルブによっては穴がないものもあります。
エア抜き穴の大きさは東京マルイ純正バルブでは海外製と大差ないのですが、タニオコバ製は極めて小さいです。あまり大きいと内圧を下げ過ぎて液化ガスの状態をキープできないという理由がありそうです。もっとシンプルで、注入中のロスを減らしているのかもしれません。ここはちょっと想像の域を出ないため確たることは言えませんが、絶妙なバランスで設計されているのは間違いありません。
エア抜きのないバルブの場合は、ガス缶とマガジンの間で液化ガスと気化ガスの交換をおこなっているのでしょう。この方式は日本のガス圧では合わないのか、全くガスが入らない場合があります。
つまり、エア抜き穴は、国内ガスの低い圧力に合わせた工夫とも考えられます。ただし、設計意図は推測の域を出ません。
Oリングの有無が音を左右する
続いて注入バルブを下から比較します。画像では見にくいですが、海外仕様バルブの注入口にはOリングがありますが、日本仕様バルブにはありません。このOリングはバルブピンの外側にしっかり噛み合あっており、ピンを抜くにはOリングを外す必要があります。このOリングの存在により、海外製注入バルブではガス缶のノズルが密着するため、注入音やマガジン内からのエア抜き音がせず吹き戻しもありません。
Oリングがあると、ノズルが密着して、ガスが外に漏れにくくなります。その代わり、エア抜きの音も吹き戻しもありません。
注入バルブ によるガスの消費量の違いは?
日本仕様と海外仕様の 注入バルブ の構造的な違いを見たところで、数値的な比較もしてみましょう。
日本仕様のバルブは注入時に「シューシュー」と音がするため、ガスが漏れているのでは?と感じる方も多いと思います。それでは実際にマガジンに10g(仮)のガスを注入するのに消費するガスの量は、日本仕様と海外仕様でどのくらいの違いがあるのか実測したいと思います。検証に使用するガンは、SIG AIR から発売されている M17 のマガジンを使用し、純正の海外製バルブの場合と弊社で販売を行なっているタニオコバ製 注入バルブ へ交換した場合で比較テストを行いました。注入バルブの交換は、マガジン内部のガスがない状態で、マイナスドライバー等で簡単に行うことができます。
今回の検証は、1つのマガジンとバルブでの結果です。そのため、他の銃では、数値が変わる可能性があります。
検証結果:海外仕様と日本仕様の比較
まずは、海外仕様バルブで276gの空のマガジンに10gのガスを注入します。マガジンが286gになるまでガス注入を行ったところ、ガス缶の重量変化は注入前290gに対し注入後280gとなりました。注入量と同じ10gのガスを消費したことから、マガジンへほぼ漏れなくガスを充填したことになります。
検証に使ったのは、SIG AIRのM17のマガジンです。純正の海外製バルブと、タニオコバ製の日本仕様バルブを交換して比べました。
日本仕様バルブで同様に10gのガスを注入したところ、ガスボンベの重量は注入前280gに対し注入後267gとなり、13gのガスを消費したことがわかりました。ガスマガジンにガスを注入するのに要した時間は日本仕様バルブの方が少なく、注入自体はスムーズに行うことができましたが、その反面少し余分にガスを消費することになりました。やはり、ちょっとずつ漏れているんですね。
| 項目 | 海外仕様バルブ | 日本仕様バルブ |
|---|---|---|
| 注入するガス量 | 10g | 10g |
| ガス缶の重量(注入前→後) | 290g→280g | 280g→267g |
| ガス缶の消費量 | 10g | 13g |
| 注入のしやすさ | ほぼ漏れなく充填 | 時間は短く、スムーズ |
消費量の差は、約3gです。つまり、10gの注入に対して、約3割多く消費しました。
これを勿体ないとは思わないでいただきたいのですが、やはり日本製の注入バルブはマガジン内部のエアを適度に抜きながら内圧を下げているので、ガスが注入しやすいということになります。
吹き戻しまで入れた場合の量
ちなみに、M17のマガジンに日本仕様の注入バルブを装着し、吹き戻しが起きるまでガス充填を行うとマガジンの重量は292gとなりました。空のマガジンの重量は276gですので、逆算するとマガジンには16gガスが充填できるということがわかりました。マガジンの注入量は7~80%くらいに留めると動作も良いため、11.2~12.8gが理想的な量と言えます。
10gは、満タンの16gに対して、約6割です。したがって、理想とされる70~80%よりも、やや少なめの量でした。
海外製バルブの個体に合わせて適宜交換を
筆者も実際に海外製ガスブロのマガジンを複数本所有していますが、海外製バルブでもガスが比較的入れ易いマガジンもあります。それらは普段海外製バルブのまま運用を行っていますが、時間をかけてもガスが入りにくいマガジンは日本仕様バルブに交換してあります。ガス缶のノズルも各社寸法に違いがあるため、注入バルブの相性によってもガス注入に違いが出てることもあります。お手持ちのマガジンのガス充填でお悩みの方は是非バルブ交換を行ってみることをおすすめします。
注入バルブ交換の手順と注意
バルブ交換は、必ずマガジン内のガスを抜いた状態で行います。道具は、マイナスドライバーなどです。
なお、マガジンごとに、バルブの相性は異なります。そのため、入りにくい個体だけを交換する方法が現実的です。
ガス缶のノズル寸法は、メーカーごとに異なります。そのため、缶とバルブの相性で、入り方が変わる場合もあります。
| 状況 | おすすめの対応 |
|---|---|
| ガスが比較的入りやすいマガジン | 海外製バルブのまま運用する |
| 時間をかけても入りにくいマガジン | 日本仕様バルブに交換する |
| 缶とバルブの相性が悪いと感じる場合 | バルブ交換や、缶の変更を試す |
交換すると、注入の音と吹き戻しが加わります。そのため、満タンの目安が分かりやすくなります。一方、ガスの消費量は、やや増えます。
ガス注入で大切な3つのポイント
- 向き:缶を逆さにして、ノズルを下に向ける
- 量:満タンの70~80%に留める
- 温度:マガジンや缶が冷えたら、温まるまで待つ
この3点を守れば、ガス注入の失敗は大きく減ります。そのため、バルブの違いとあわせて、覚えておいてください。
日本仕様バルブを選ぶ目安
次のような状況では、日本仕様バルブへの交換が選択肢になります。そのため、当てはまる項目がないか、確認してみてください。
- 海外製ガスブロを、日本のガスで使っている
- ガスが入るまで、何十秒もかかる
- 注入したのに、数発でガス欠になる
- 吹き戻しで、満タンを知らせてほしい
ただし、ガスの消費量は、やや増えます。一方、注入の手間は減ります。そのため、使い方に合わせて選ぶのがおすすめです。
注入バルブに関するよくある質問(Q&A)
Q. 日本仕様と海外仕様の注入バルブは、何が違いますか?
主な違いは、注入時の音と吹き戻しの有無です。また、海外仕様は注入口にOリングがあり、日本仕様にはありません。さらに、エア抜き穴の大きさや、想定するガス圧も異なります。
Q. 海外製マガジンにガスが入りにくいのはなぜですか?
海外製バルブは、LPGなど高圧のガスを前提にしています。そのため、日本のHFC134a/152aでは圧力が足りず、充填に時間がかかります。
Q. タニオコバ製注入バルブに交換すると、どうなりますか?
国産ガスガンと同じように、ガスを注入できます。タニオコバ製は、日本の低いガス圧でも入りやすい設計です。なお、交換はガスがない状態で、マイナスドライバーなどで行えます。
Q. 日本仕様の注入バルブは、ガスを多く消費しますか?
ORGAの実測では、10gの注入で13gを消費しました。海外仕様は10gでした。そのため、約3g多く使う結果です。
Q. ガスは、どのくらい入れるのが適切ですか?
満タンの70~80%が目安です。M17のマガジンでは、約11.2~12.8gが理想的な量でした。ただし、吹き戻しまで入れた場合は、約16gが入りました。
Q. ガス缶は、どの向きで注入しますか?
ノズルを下に向けます。缶を立てて入れても、気体のガスしか出ないため、液化ガスが充填されません。そのため、必ず缶を逆さにして注入してください。
Q. 生ガスとは何ですか?
液化ガスが十分に気化せず、そのまま出てくる状態です。ガスの入れ過ぎや、連射による温度低下が原因になります。そのため、白い霧が出たら、いったん撃つのを止めましょう。
Q. ガスが入らないときは、どうすればよいですか?
まず、マガジンや缶を少し冷まします。次に、缶が冷えたら温まるまで待ちます。それでも改善しない場合は、日本仕様バルブへの交換を検討してください。
Q. 放出バルブを押しても大丈夫ですか?
基本的に推奨されません。緊急時のみ、個人の責任で、少しずつ行ってください。ガスルートパッキンの飛散や、軽い凍傷に注意が必要です。
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